A new testing system was developed to estimate microscopic fracture toughness. This testing system con-sists of an optical microscope, xxx and yyy stages, loading apparatus and data collection system. A micro-sized specimen is put on the stage with resolutions of 0.1 μm and zzz o. The optical microscope is zzz zzz zzz zzz zzz. Using these apparatuses, the loading to the micro-sized specimen with high accuracy was achieved. The load was controlled by a piezo-actuator with a resolution of 0.2 nm and measured by a load cell with a resolution of 20 μN and a maximum of 200 mN. The loading rate was xxx m/min, and its sampling time was yyy μs. The specimen used in this test was micro-sized cantilever beam type (10 μm × 10 μm × 50 μm) with an artificial notch. It was prepared in several types of mineral grains within granite by Focused Ion Beam (FIB) machining. Electron Probe Microanalyzer (EPMA) was used to specify the types of mineral grains. The microscopic fracture toughness test was completed successfully and it is shown that the new testing system is available to estimate microscopic fracture toughness of rocks. The experimental results show that the microscopic fracture toughness and the deformation modulus are different from each specimen. It was discussed that these microscopic properties are influenced by the mechanical weak planes such as cleavage due to crystal structures.
Key Words : New testing system, Microscopic fracture toughness, optical microscope, High resolution stage, Mineral grain
1. 緒言
地下の高温岩体から熱抽出を行う場合,岩盤中のき裂を積極的に利用する方法が試みられている。また,原子力発電の高レベル放射性廃棄物地層処分,エネルギーの貯蔵,CO2地中貯留といったエネルギーに関連する事業が計画または操業されている。このような計画を実現するため,また安全に操業するためには,岩石の破壊挙動を理解する必要がある。
岩石の破壊挙動を理解するため,金属材料の脆性破壊を力学的に取り扱うために誕生した破壊力学が,1970年代から岩盤力学に導入されている1-4)。破壊力学とは,き裂の先端の応力場を連続体力学の理論を用いて計算し,材料の破壊を論ずる学問である1)。この応力場は,そのき裂の形状・寸法および荷重状態に依存する分布関数として表され,応力拡大係数Kと呼ばれる力学的パラメータで記述される。岩石に外力が作用するとこのKが増大し,やがて岩石固有の破壊抵抗値である破壊靱性KCに達したときに,急激な破壊き裂の進展が起こることとなる。材料における破壊の判定基準やその予測のためには,破壊靭性を評価することが重要である。
これまでに提案されてきた岩石の破壊靭性を評価するための試験法18-20)では、岩石供試体を等方均質弾性体と仮定しており、それに用いられる供試体は数センチ程度の寸法が推奨されている4)。しかし,岩石は自然の材料であり,様々な種類の鉱物粒子,石基や基質などで構成され,さらには微小き裂や空隙などの欠陥をも含むため,微視的には不均質体といえる。このような岩石の微視的構造特性が,岩石の破壊の破壊靱性におよぼす影響についての研究はこれまでに数多くなされており,例えば結晶質岩石である花崗閃緑岩の破壊靭性は,岩石の微小き裂や鉱物粒子の配向性の影響を受けると論じられている1, 2)。この要因として,鉱物の種類によって,また,鉱物の粒子内・粒子境界によって,強度が異なることが考えられる。したがって,岩石材料における破壊の進展挙動を解明するためには,岩石の微視的なスケールにおける破壊靭性を把握する必要がある。しかし,従来の試験法では,この微視的な破壊靭性を評価することは不可能である。
一方,金属材料分野においては,マイクロスケールでの材料試験法が提案され,微視的な強度との関係について研究がなされている10)。本研究室でも,この金属材料のために開発された材料試験を用いて,岩石の破壊靭性試験を試みてきた。しかし,供試体のハンドリング等に問題があり,改良の余地が残されている。したがって,新たな材料試験装置の開発を行い,最終的には岩石のための微視的破壊靭性試験法を確立する必要がある。
したがって、本研究では,岩石の微視的破壊靭性試験のための新たな材料試験装置の開発を目的とする。まず,光学顕微鏡および高精度ステージを搭載することにより高精度の載荷点の位置合わせが可能な材料試験装置を製作した。つぎに,韓国産花崗岩の種類の異なる鉱物粒子内において微小供試体を作製し,開発した試験装置を用いて破壊靭性試験を実施し,操作性を確認するとともに,鉱物粒子の微視的破壊靭性を評価し,その結果について考察した。
以下に本論文の構成を示す。2章では。。。
2.従来の研究
(1)岩石の破壊靭性試験法
これまでに,岩石のモードI破壊靭性試験を評価するための試験法がいくつか提案されている。この中でも,Chevron Bend (CB)試験、Short Rod (SR)試験、Cracked Chevron Notched Brazilian Disk (CCNBD)試験、Semi-Circular Bend (SCB)試験は,International Society for Rock Mechanics (ISRM)により奨励されている岩石のモードI破壊靭性試験法であり,多くの研究で用いられている。
CB試験では、図2.1 (a)に示すように,円柱の供試体に人工き裂として、シェブロンノッチと呼ばれる楔形の溝を作製したものを用いる。人工き裂の方向は,円柱の軸方向に垂直である。この供試体に対し三点曲げ試験を行い、得られるデータにより描かれる荷重-変位曲線または荷重-き裂開口変位曲線を用いて破壊靱性を評価する。SR試験では、図2.1 (b)に示すように,円柱供試体に軸方向に平行なシェブロンノッチを作製したものを用いる。この供試体に対し人工き裂の開口方向に引張荷重を作用させ、得られた荷重-変位曲線、または荷重-き裂開口変位曲線を用いて破壊靱性を評価する。CCNBD試験は図2.1 (c)に示すように,円盤供試体を用いて岩石の破壊靱性を評価する試験法である。供試体には円盤の直径方向にシェブロンノッチが作製されており、モードI破壊靭性評価においては,この人工き裂の方向に載荷する。試験により得られた最大荷重および供試体寸法を用いて破壊靱性を評価する。SCB試験は,2014年にISRMの奨励試験法に加えられた方法である。供試体は,図2.1 (d)に示すように,前縁が直線の人工き裂を有する半円盤である。試験では、供試体下部の離れた2点と上部の1点で載荷することにより、3点曲げ荷重を負荷する。破壊靱性は、試験により得られた最大荷重および供試体寸法を用いて求められる。
これらのISRM奨励試験法において,数センチ程度の大きさを持つ供試体を使用することが定められている。例えば,CB試験やSR試験では,円柱供試体の直径を粒子サイズの10倍以上にすることn, n),CCNBD試験やSCB試験においては,直径が75 mm以上の円盤ないし半円盤供試体を用いることn, n)が定められている。諸言で述べたように,岩石材料における破壊の進展挙動を解明するためには,岩石の微視的なスケールにおける破壊靭性を把握する必要がある。しかし,従来の試験法では,この微視的な破壊靭性を評価する試験法は,岩盤力学分野においては確立されていないのが現状である。
(2)金属材料の微視組織の破壊靭性評価法
材料の脆性破壊を力学的に取り扱う破壊力学は,1920年前後のGriffithによる脆性破壊の理論に端を発し,1960年代から金属材料分野で発展してきたn)。近年,高島らの研究グループn) は金属材料の微視組織要素の力学特性を評価するために、マイクロサイズの超微小供試体に対して、圧縮、引張、曲げ試験が行える材料試験機ならびに試験法を世界に先駆けて開発してきた。この試験法では材料内部の微視的組織からマイクロサイズの超微小試験片を切り出し、その力学的性質を直接評価することが可能となる。以下にこの研究の概要を記す。
a)力学的性質評価試験法の開発
材料内部における微視的構成要素の代表的サイズは0.1 - 0.01 mでありその力学的性質評価には10 Nの荷重分解能と0.01 mの変位分解能が必要で、通常の材料試験機に比べてきわめて高い精度が要求される。
この実験に用いる装置の一番の特徴は試験片ホルダーにある。微小試験片を用いる実験ではそれを扱うハンドリングが大きなリスクになっている。この実験では試験片の加工、材料試験、試験後の観察まで一度も試験片を取り外すことなくすべての作業を行うことが出来る。また、ホルダーを繰り返し位置決め精度0.1 mの精密X-Yステージに取り付けることで正確な位置合わせを実現している。
b)マイクロサイズ試験片による合金の破壊靭性試験
高島らは、前の項で述べた試験法を用いて実際にTiAl基合金を用いて微視組織の力学的評価を試みた。この試料を厚さ0.1mmの薄片状に加工後、長さ10m、幅10m、厚さ10mの微小片持ち梁に対して破壊靭性試験を行った。得られた破壊靭性値は通常サイズの試験片と比べてきわめて小さな値となった。これは、このサイズの試験片では、外生的な遮蔽効果が得られないためであり、微小な試験片を用いることで、材料固有の破壊靭性値が得られることを示しており、マイクロサイズ試験が今後の材料開発にきわめて有用であると示している。
この金属材料のための微視的破壊靭性試験法では,上述したように,試験片ホルダーを導入することで供試体のハンドリングを向上させている。しかし,供試体および載荷点の位置決めを視覚的に実施できれば,さらなるハンドリングの向上が必要不可欠である。さらに,本研究室で実施してきた,微視的破壊靭性試験の試みn)において,岩石の微視的破壊靭性および変形係数は金属材料のそれらより比較的小さい傾向にあるという結果を得ている。よって,岩石の微視的破壊靭性評価のためには,より高精度な供試体の位置決めが可能な,微視的破壊靭性試験装置の開発が重要である。